「Smile BiDi-Repeater」のテストをしています。
DesktopStation及びなごでんさんの所で試運転をして貰っていましたが、モータードライバーが、すこぶる突入電流に弱い様です。
仕様書を見ると、TB67H303HGのOCに対するマスク時間は2μs程しか有りませんので、何か手を打たないとこのモータードライバーはボツになりそうです。ちなみにTB6643KQでは4.5μs以上有り、いろいろ小技を使って10μs程で起動させているとの事。
とりあえず、無駄なあがきになるかもしれませんが、少々いじって確認をしてみます。
アリエクスプレスで購入した、電子負荷が到着しましたので、負荷試験をしていきます。先ずは、DCC信号をブリッジダイオードを通して直流に変換し、電子負荷に入力させます。今回は、12V-5A仕様のACアダプタを電源に接続して試験します。
最初はコンデンサを取り付けずに試します。0.3A程度でOC(オーバーカレント)でモータードライバーが止まります。電子負荷の突入電流で停止しまう状態で、これではどうにもなりません。
対策として、 470μFのコンデンサを取り付けて起動させます。最初はOCで止まりますが、リセットボタンを押しマイコンの再起動を3回程繰り返すと、コンデンサに充電されて起動してくれる様になりました。
コンデンサを1000μFに変更すると、5~6回のリセットで起動するようになります。
※これは、デコーダーのコンデンサが充電された事と等価と言えます。
コンデンサの容量に対する負荷電流を見ていきます。
470μFの時は3.4AでOC発動。3.3Aまでは流せました。
停止時のLCDの表示は5.65Aとなっておりますが、概ね3.2A~5.5A程の間で推移していました。振れ幅は2.3A程有ります。
1000μFの場合は、4.8AでOC。4.7Aまでは流せています。
LCD表示は、5.44Aです。
こちらは、電子負荷の設定に0.3~0.6A程度を足した値を常に保っています。コンデンサの容量が大きい事により、振れ幅が小さく0.3A程度の増減に保てていると考えます。
以上の事により、電子負荷の突入電流に対して、電解コンデンサが効果を発揮している事がわかります。
※前提として、BiDi信号を付加している為、無電圧時間が存在し電力不足となる傾向にあります。
Rosc(マスク時間を設定する抵抗)は、標準の最大120kΩの所、200kΩと270kΩに変更して確認していますが、コンデンサなしの場合に電流値の改善が見られない為、この範囲では影響していないと考えます。さらに大きくしてみる必要が有りますが、グラフを見る限り3μsまで伸びる可能性は低そうですし、モータードライバーの挙動としてOC判定不能になる可能性もあります。
とりあえずもう少し大きな抵抗値に変更し、今後OC判定がどこまで効くかを実験してみます。
また、今回はACアダプターの容量が5Aなので、結果としてギリギリの線まで流せたのかもしれません。次は10A以上の安定化電源に繋いで、8A出力を試していこうと思います。
今現在考えられる対策としては、起動時に10回くらいはプログラム上でリトライ(モータードライバーの再起動)をしてあげれば、起動できるのではないかと考えています。
セラミックコンデンサのみで大容量積まれると、何かしら厳しい状況になる可能性が有るかもしれません。